AAMTジャーナル「機械翻訳」No. 83 ビジネス課題に特化した専用翻訳機の可能性
1. はじめに
株式会社IP DREAM[1]は多言語AIコミュニケーションサービス「VoiceOn」を提供しています。このサービスには、ブラウザだけで利用できるクラウド型と、専用ハードウェアを用いた端末型の2種類があり、いずれも、法人業務において、外国人のお客様に正確な情報を伝える翻訳ツールとして活用されています。
本稿では、接客窓口専用翻訳機「VoiceOn Information Desk」、スタンドアロン翻訳機「VoiceOn Station」を取り上げ、専用機として提供する目的、ビジネスシーンにおける機械翻訳の役割、そして専用機ならではの拡張性について、活用事例を交えながら解説します。
2. 接客窓口専用翻訳機
サービス利用方法を案内する接客窓口では、ゲストにサービス内容を正確に伝え、満足度の高い利用体験を提供することが最終的な目的です。

そのためには、スマートフォンなどの個人端末による翻訳サービスよりも、専用の翻訳機を設置する方が効果的だと考え、「VoiceOn Information Desk」を開発・商品化しました。
この商品は、公共施設の窓口、ゴルフ場、シェアオフィス、カラオケ店など、さまざまな受付業務で活用されています。

写真:カラオケレインボー渋谷店 受付 月間5,000名のインバウンド利用がある人気店。
<利用シーン:カラオケ店>
タブレット2台を背中合わせに設置してコンパクトに常設。ゲストが言語メニューをタッチすると、大きな画面でチャットが始まり、操作はマイクボタンのみ。
カラオケ店では、ドリンクコースの説明が必要で、「ドリンクメニューの指差し+翻訳機の併用」により、サービス内容を正確に伝えて、満足度の高い選択をサポートしています。よく使うメニュー説明フレーズも登録して簡単に呼び出せます。
従来使用していたパーソナル翻訳端末と比べて、大画面で即時対応が可能。ルームにタブレットを持ち込んでの接客にも活用されています。
3. スタンドアロン翻訳機
秘匿性が高い重要な会議や、通信環境が不安定な場所では、クラウド型よりもスタンドアロン型の翻訳サービスが適しています。

こうした多様なビジネスシーンをさらに分類・整理し、スタンドアロン翻訳機「VoiceOn Station」の3つのモデルを開発・商品化しました。いずれのモデルも、クラウド型サービスの機能を端末に搭載しており、それぞれの端末にお客様専用の独自辞書を適用できます。


翻訳機本体に、マイクとスピーカーをそれぞれ2セット、さらにミニキーボードを接続します。電源を入れると、自動的に双方向の同時通訳が始まり、会話中に操作する必要は一切ありません。
対面交渉用モデルは、マイクとスピーカーをセットで提供することで、利用者がそれぞれ母国語で同時に話しながら、翻訳された音声をリアルタイムで聞くことができます。
音声入力は、音声認識に直結するため、会話中に飛び交う音声を専用機器で的確に拾うことが重要です。
4. 専用翻訳機の可能性
例に示したビジネスシーンのいずれの場面でも共通して求められるのは、「いざという時に確実に使えること」と、「重要な情報を的確に伝えられること」です。
さらに、業務の効率化、サービス体験の向上を図るためには、次のような機能拡張が効果的です。
(1) システム連携による対応力の強化
受付業務に関連する各種業務システムや、自動応答型のAIガイド[2]と連携することで、より多くのお客様にスムーズに対応できるようになります。
(2) ハンズフリーデバイスによるサービス体験の向上
たとえば観光ガイドツアーでは、スマートフォンを操作せずに使えるスマートグラスの活用が有効です。こうしたデバイスをセットで提供することで、より確実で快適なサービス体験を実現できます。
多言語AIコミュニケーションサービス「VoiceOn」は、翻訳AI・生成AI・Webテクノロジーを融合したクラウド型および端末型のラインナップを展開しています。さらに、関連サービスや最新技術との連携により、さまざまなビジネスシーンに柔軟に対応できるソリューションを提供しています。
参照:
[1]株式会社IP DREAM(https://www.ip-dream.co.jp/)
[2]地域一体で育成する「多言語対応AIコンシェルジュ」 プロジェクト(東京都発表) https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/business/data-utilization/case-study/project-r602